レコードを売る際に注意すべきこと

僕は今まで一度もレコードを売りに出したことがなく、それはちょっとしたこだわりや誇りでもあったのです。
しかし、いまだ衰える気配のない「未知の音源」に対する情熱、増え続ける「一度しか聴いたことのない音源」、部屋のスペースと比例して圧迫されていく家計、「こんなもんばっか買ってるからいつまで経ってもお金が貯まんないのよ!もう全部売ってしまえ」と毎日のように僕を叱責する第三者の圧力(泣)…と、所有レコードがけっこうな数になってきた昨今、いよいよキレイゴトも言えなくなってきたのであります。
ということで、先日初めて「レコードを売る」ということにチャレンジしてみました。
売ったお店は、渋谷・宇田川町の「ディスクユニオン・渋谷JAZZ/RARE GROOVE館」。
本日は、レコードコレクターなら一度はやっているだろう(もしくは悩んだことがあるだろう)この行為についてレポートしたいと思います。僕もちょっと売るだけでだいぶ悩んだので、同じようになかなか手放せなくて迷っている方へ、ご参考までに。
■ステップ1 「レコード裁判をしよう」
とにもかくにも、まずは売るレコードを決めましょう。
「レコード裁判」と呼ばれるこの行為は、今日のトップ画像ともなっている「レコスケくん」のように、『最近レコード買いすぎでいいもん食ってないからレコード売ってうまい肉を食うのです』とかっつって売りレコを決めようとするんだけど、なんやかんや理由をつけてるうちに結局1枚も売れなくなった(名言「みんな無罪!!」)という美談に陥りがちなのですが、ここはバッサリと「結局このレコードって、全然聴いてないよね」という冷静な判断力で決定していくべきです。
ここで重要なのは、「あとで聴くかも」とか考えちゃいけないという点です。絶対聴きません(経験談)。レコスケくんみたいに「このレコードはA面1曲目のクレジットに前の所有者が『Good!』って書いてたから買ってみたけど、俺にはどこがグッドなのか全然わかんなかったよ。でももしかしたら、いつかこの曲のよさがわかる日が来るかもしれない。だから無罪」とかよくわかんない理由をつけてはいけません。絶対来ません(経験談)。
そんな(あいまいな)基準で、僕もレコードを見繕いました。とりあえず70枚。
大した量じゃないけど、まあ初めてだしこんなもんで様子を見よう、っつうことで。
上で述べたこととさっそく矛盾しますが、極力冷静に判別しつつも「いや、でもこれはそのうち気に入るかも知れない」と思ったやつは売りに出すのをやめました。明らかにいらないやつ以外はもう一度ちょっとずつ聴いてみたんですけど、そこでちょっと「あれ?これは…」と悩んだものは中止しても良いというルールにしたのです。そういう場合は、「どうせこれ1枚売ったって大したカネにはなんないんだから、その分明日からのジュースをxx本ガマンしよう」とか思いましょう。でも、それが無限ループするとレコスケくんみたく「みんな無罪!!」になっちゃうので要注意です。
■ステップ2 「どこのお店へ売りにいくか決めよう」
友人の話や自分で相場を調べた感じではやっぱり「ヤフオクで売るのがいちばんカネになる」のですが、いちいち写真に撮ったり落札者にメールしたりYahoo!に手数料取られてイラついたり…とか面倒なことを考えると、トータルではそんなオトクでもないのかなあ、と個人的には思います。
で今回は、「ディスクユニオン」の渋谷JAZZ/RARE GROOVE館にしました。
利便性の良さ、査定の確かさ、それと売りに出すレコードのジャンルで決定。
当然ですが、売る店を決める際に重要なのは、「持っていくレコードのジャンルを取り扱っているお店にする」ことです。例えば、世界で500枚しか出回ってないケミカル・ブラザーズの超レアでかっこいいレコードがあったとして、それを「ジャズ一辺倒なオッサンが営むレコード屋さん」に持ってったら、まあ買ってもらえたとしても50円ですよね。要は、査定する人は世界中すべてのレコードを知ってるわけではないので、「どのお店に持っていったら、このレコードの価値をわかってくれるか」というのをよく考えたほうがいいっつうことです。
ちなみにディスクユニオンというと、「ある程度の量があれば送料無料」「キャンセルの場合も返送無料」「希望すればダンボールも無料送付してくれる」というタイヘン素晴らしい買取センターというシステムが非常に便利っぽいんですが、前に友人から聞いた話だとイマイチみたいです。まあホントにただ処分したいぐらいのレコードだったらオッケーなんだろうけど、いくらかでも価値のあるものなら、然るべきお店にキチンと持っていったほうが確実みたい 少なくとも本人としては安心できると思います(後日修正)。
まあ「○○(特定ジャンル)買取センター」とかに出すんだったら問題ないんでしょうけどね。
■ステップ3 「いざ出陣」
どんなに冷静な判断のもと「これはもう聴かない」と思ったレコードでも、やっぱりちょっとションボリします。これはもうしょうがない。まさに「買った時のレコの重さは心地良いのに、売りに行くときの重さはズシリとつらいもんです(byレコスケくん)」なのです。
でも、だからと言ってここで「もう少し減らしてもいいかな…」とか考えて家に戻ってしまうと、レコスケくんみたく「レコード裁判第2審」が始まって「みんな無(略」とか予想通りの展開になるので要注意です。
■ステップ4 「お店にて」
「いきなり持ってって売れるのか?」というのを疑問に思う方も多いとは思いますが、少なくともディスクユニオンならまず大丈夫でしょう。70枚っつったら(世間一般的には)けっこうな量だと思うのですが、店員さんは全くひるむこともなく「明日の夕方までには査定しておきますので」とのことでした。さすがプロ。
ちなみに、当然のことながら身分証明書の提示を求められます。これは免許とかでオッケーです。
■ステップ5 「そして、レコードが売れた」
初めてということもあり価値的にはそこそこイイモノを持っていったので、
- いくらなんでも、35000円ぐらいはつくだろう(平均500円)
- 目標としては70000円(平均1000円)
- 意外なラッキー(実はレア盤だった、とか)が重なりまくったら夢の6ケタ
- でもやっぱり10000円ぐらい、とかだったら悲しい
と様々な思いを馳せつつレコード屋さんへ行くと、「買取確認書」と「トレードカード」なるものを渡されました。

「トレードカード」がやはり面白くて、1枚1枚の査定額がキチンと書かれています。備考欄には、これまでレコ屋の値札でウンザリするほど見てきた「シュリンク付美品」「A-1/B-2(※この曲が良い、という意味)」「ジャケット不良」「盤A/B」というとても丁寧なメモ書きがされていて、なんだかわかんないけど嬉しくなります。ちゃんと査定してるんだなあスゲエなあ、とか思います。
で、結果はというと…70枚で、57500円でした。
まあ盛り上がるほどではない妥当な金額だけどとりあえずは安心、という感じ。
「これは納得できない!」というものは特にありませんでした。
【高値ベスト3】
1位: Jimmy Davis & Norma Lee / The Girl From Ipanema (9000円)
かつてジャイルス・ピーターソンが大枚を叩いたと言われているレア・イージー・リスニング盤。ちなみに僕は売値よりも120円安く買いました。いくらで販売されるんでしょうねこれ。
2位: Benny Powellfeat. Petsye / Ya Betcha B.P. !! (3000円)
2000円ぐらいで買った翌週、アプレミディで9800円で売ってるのを発見した思い出のあるジャズ盤。最初は気に入ってたんだけどなんかちょっと長ったらしいし飽きるなあ、という理由で放出。
3位: Deborah Brown, Sandvik Bigband / The Song Is You(2000円)
1,2位と同じく、決して悪いんわけじゃないんだけど、もうこれは好みの問題というか。好きな人は好きなはずのジャズボーカル盤。内容はいいですよ。
■ステップ6 「まとめ:レコードを売る際に注意すべきこと」
今回、レコードを売りに行ったことで僕が得た知識などをまとめます。
・売る前に、全てのレコードの写真を撮っておくべき
これは本当にやっといてよかったなあ、と思いました。というのも、70枚持ってったつもりだったのに、引換書には「69枚」と書かれていたんですよ。で「たぶん70枚だと思うので、査定のときにでも確認してみてください」と言っておいたところ、翌日「すみません、やはり70枚でした」って。もちろん店員さんも悪気はないんだけど、これが売値9000円のレコードだったとしたらゾッとしますよ。こういうのは、ちゃんと確認するに越したことはありません。
・売りにいく店を間違えないように
「ステップ2」で述べたとおり、ここが最も重要なポイントです。売るレコードの価値よりも、価値を知っている店に持って行くことが断然重要です。皆さんも今日はこれだけ覚えて帰ってください(すっかり講師気取り)
・あらかじめ「どのぐらいの金額になりそうか」を予想しておく
僕はどんなことに対してもあらかじめ「最悪のケースを想定する」タイプの人なのですが、「最低いくらぐらいだろうなあ」というのを(なるべく低めの設定で)予想しておいたほうが、あとで精神的ショックが少なくていいと思います。元々聴いてない「レコ棚のこやし」なんだし、期待しすぎは禁物だと思う。
・レコードに対する第三者の理解を得ることができます(できるかも知れない)
「全部売ってしまえ」と鬼のようなことを言う第三者(恋人や奥さんなど)の理解を得ることができるかも知れません。僕のケースですと、「売りに行くときのレコードはズッシリ重いよ…」とレコスケくんの名言を引用してレコ屋に向かったところ、そのションボリ具合たるや相当なものだったらしく、帰ってきたあとに「もう売らなくていいよ、なんかションボリしてて可哀想だったから」と言われました。どうやら僕はこの先、心おきなくレコードを買い続けることができるみたいです(ニヤけ
・「それでも迷う」というレコードは売らない
冷静に判断してもちょっと迷う、というやつは売らないほうがいいです。金額ウンヌンっていうより、あとで後悔するような気がします。僕もそれで10枚ぐらいは踏みとどまりました。なにも、「今日中にこのレコードを売らないといけない」ということはないので、明日以降100回聴いてみて、それでも好きじゃなかったら売ればいいのです。どうしてもお金に困っているというのなら、所有する数千枚のレコードのなかから「ホントにいらないレコード」を他に200枚ぐらい探して売ればいいわけだし。
まあそんな感じで、何事も経験だなあと思いました。
あと300~400枚ぐらいは売る予定。
[参考サイト]
ディスクユニオン中古買取センター
レコスケWEB
レコスケくん (もうホントまじで超死ぬほど共感できるオススメ漫画)
「レコード」「買取」で検索してみた
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兄のコレクションだったジャズのレコード盤が、必要な人にと思い買取して貰える所探していたら、ココにたどり着き、細かいこと教えて貰いとても助かりました。
ありがとうございました^^
ニイノナオミさん
あんまり大した情報は書いてませんがお役にたてたようでよかったです!
ほんとはオークションで地道に売るのがいちばん良いんでしょうけど
よくわからない場合はやっぱり大手に任せちゃうのがいちばんだと思います。
私は400枚近いCDコレクションをアマゾンのマーケットプレイスで販売しました。アマゾンに手数料を取られる分、それほどの収入にはなりませんでしたが、楽しみでもありました。たまに発送したのに、届いていないというトラブルもありましたが、色々勉強になりましたよ。
CDだったらマーケットプレイスもいいかもしれませんね~
個人的には面倒くさくてできませんけど・・・
ヤフオクも無料になったのでほんとはそういうので売るのがいいんでしょうねえ。
父の所持品整理でたくさんあったレコードですが
価値もよく分からないので検索したところコチラが
目に止まりました。
一つずつ丁寧に査定してくれるということで
現在梱包中です。
知識のない自分ですので
物凄く助かりました。
有難う御座いました。
とっしーさん
こちらこそ参考にしてくださってうれしいです、ありがとうございます。
手違いなどで本来の価値より安く売られちゃう可能性もないとは言えませんが、
手間や労力や信頼度を天秤にかけると、やはり最善策のひとつではないかと思います。
所有してる自分でも価値なんてよくわかんないですしねー。